PwC|PMIコンサルティング事業部(パートナー 愛場様&ディレクター 久木田様)
Post Date:
2018-02-22 /
Category:
M&A, 外資系,
本日はPwCコンサルティング マネジメントコンサルティングPMI(MC-PMI)パートナーの愛場悠介 様(写真:右)と、ディレクターの久木田光明 様(写真:左)にインタビューの機会を設けていただきました。 MC-PMIの業務内容、組織、プロジェクト概要、求める人材像などについてお話しいただきました。
ご経歴について
EL
これまでの経歴についてお伺いさせて下さい。
愛場様
私は2001年に新卒でアーサーアンダーセンに入社し、そのまま現PwCコンサルティングに至っています。
入社後は中期経営計画の策定等の戦略コンサルティングや決算早期化、ERPシステムの導入、リスクマネジメントの構築など、さまざまなソリューションを経験しました。
2011年から3年間はPwC US法人(ニューヨーク)のM&A支援チームに所属し、日系企業による米系企業の買収・統合案件を含め、M&A契約締結前のデューデリジェンスから、締結後のポストM&A統合まで、M&Aサイクル全般に渡る支援を経験し、2014年の春に帰任しました。
それ以降は金融機関を対象としたPMIチームのリードをしており、2017年7月からはコンサルティング部門において、金融機関だけでなく他の業界のPMIもリードする役割を担っています。
久木田様
私は国内系のコンサルティングファームで主に不動産業界に対するコンサルティングを経験後、2012年にPwCコンサルティングの戦略チームに入社いたしました。
私の入社後にPwCが戦略ファームであるブーズ・アンド・カンパニーを買収し組織が統合され、その後Strategy&(戦略チーム)とMC-PMIとの組織分けがあったタイミングで私はPMIチームに移りまして、MC-PMIの立ち上げから現在に至るまで所属をしております。
マネジメントコンサルティングPMI 部門の概要について
EL
MC-PMIの組織について教えてください。
愛場様
当社は業界とソリューションのマトリックス組織になっており、私たちMC-PMIはソリューションチームであるマネジメントコンサルティングの中の一つのチームとして位置づけられています。
部門は40名程度の組織でありマネージャー以上が10名強、マネージャー未満で30名程度という比率になっており、現時点では比較的若手が多いチームとなっています。
マネージャー以上については担当業界を持ち、その業界のビジネス開拓やデリバリーをリードしています。一方で、メンバークラスについてはPMIチームの中でリソースをプールしながら、個人のケイパビリティやキャリア志向に応じて様々なプロジェクトに参画してもらっています。
EL
比較的新しい組織ということで、立ち上げの背景を教えていただけますか?
久木田様
昨今、M&Aという戦略オプションが経営戦略の一つとして位置づけられるようになりましたが、統合後に関する課題、つまり当初描いていたシナジーやストーリーが具現化できていないというケースが散見されます。そういったところに多くの経営者が課題感を持ち始めたという状況がありました。
PMIを成功させるにはM&Aを理解した上で、企業の様々な機能についても網羅的に理解しているコンサルタントが必要であり、専門の組織を作り、PwC Japanグループとして力を入れていこうという方針で立ち上げた経緯があります。
EL
具体的にはどのようなサービスを提供されていらっしゃるのですか?
愛場様
私たちのチームは、いくつかの業界を主な対象としながら、M&Aの早い段階から実行段階まで幅広くサービスを展開しているというところに特徴があります。
実際のM&Aプロセスに沿って具体的に説明しますと、①海外市場調査、M&A戦略、提携戦略の策定
②ビジネス・オペレーショナルデューデリジェンス、シナジーの洗い出し
③Day1計画の策定や、ターゲットオペレーティングモデルのデザイン、M&A後の事業計画の策定
④業務・人事制度・システムなど統合の実務
⑤次のM&A機会に備えるためのプレイブック作成や、統合後の中期経営計画の策定
まで、一貫してご支援をしています。
いわゆるPre DealからPost Dealまで一つの組織が関与しているというのは、他のコンサルティングファームにはない特色かと思います。
これは、組織立ち上げの経緯でもお話をしたことですが、M&Aプロセスの初期段階で認識していた課題や機会を最後の実行段階まで繋げることができ、当初描いた目標を確実に実現するところまでサポートしたいという思いがあり、このようなサービスを提供しています。
EL
PMIを前提としてM&A全般の支援をされていらっしゃるのですね。
愛場様
PwC JapanグループにはM&Aのそれぞれの領域に対応できる専門的なチームがあります。企業戦略ということであれば「Strategy&」、M&A戦略は「Deals strategy」、財務デューデリジェンス等はPwCアドバイザリーがあり、我々はM&Aを幅広くサポートするというところで各チームと連携しながら一緒に案件を進めています。
プロジェクト内容について
EL
Pre Dealの段階では具体的にどのようなご支援をされていらっしゃるのでしょうか?
愛場様
最近ご支援させていただいたものが2つございます。一つはM&Aによる米国事業拡大を検討しているクライアントを対象として、あるM&A案件を実行するか否かを決定するフェーズでのご支援でした。
具体的には、米国市場の成長性や競合状況などの業界概観を第3者の視点から調査した上で、「米国内の対象セグメントは市場として本当に魅力的なのか」、「その市場へ新規参入するための戦略オプションとしてそのM&Aが妥当なのか」という問いに対するご提案をしました。
もう一つは、より初期的な段階でして、あるクライアントがM&Aも視野に入れながらASEANマーケットに事業展開したいと考えているところに、ASEAN各国の市場魅力度調査を行い、どのように進出していくべきかという戦略立案をご支援しました。
ASEAN各国の市場調査、さらには、各国の規制や税制の差異にも着目し、各国間の輸出入を考慮したバリューチェーン調査を行いました。その上で、「仮に進出対象国の優先順位をつけるならばどういう順序になるか」、「ASEAN全体・各国のバリューチェーンのどこを抑えるべきか」、「どのようなプレーヤーとの提携が妥当か」ということを検討しました。
EL
ありがとうございます。Post Dealの案件は具体的にどのようなご支援をされていらっしゃるのでしょうか?
愛場様
海外と国内で一つずつご紹介をさせていただきます。
まず海外に関わる案件では、ASEAN地域に展開している日系メーカーをご支援した事例で、海外拠点における事業法人のあり方を見直すというプロジェクトがありました。
もともとそのクライアントは1つの国の中でも、複数の製造会社や販売会社を有していたのですが、ASEAN地域が急速に成長をする中で、現地のマーケットニーズに応じて素早く、開発・生産・販売ができる体制に改革することが求められていました。
そのため、複数の現地法人を統合することによって「どのようなシナジーが期待できるのか」、例えば「製造・販売の連携高度化による販売機会喪失の防止」、「集中購買によるコスト削減」、「ITシステム統合による運用保守コストの削減」、また「キャッシュフロー最適化による資金調達コスト削減」などを検討しました。その上で、1つの施策でどのような金額的インパクトがあるか、統合によるリスクは何か、実現までの期間はどの程度かかるかを整理し、メリット・デメリットを整理していきました。
ここでは日本のMC PMIチームのメンバーが現地事務所のPwCメンバーと協業して、約2か月をかけてDay1計画の策定と、その統合により得られるシナジーの洗い出し・定量化を行いました。
EL
ありがとうございます。国内の案件はどういったものでしょうか?
愛場様
国内では地方金融機関の統合をご支援させていただく機会が増えております。ご存知の通り地方金融機関の統合が近年増加していますが、我々のチームは過去数年間で行われてきた金融機関の統合に関しては、リーディングプレーヤーとしてのポジションを築いております。
私たちMC PMIチームのミッションとしては、日本企業の「グローバリゼーション」を支援することと共に、国内で事業展開される企業の事業ポートフォリオ組み換えを通じて日本経済の活性化(「リバイタリゼーション」)を支援していくということがあり、後者を具現化した特徴的なものが地方金融機関の統合案件だと考えています。
現在、全国に105の地方金融機関がございますが、金融業界ではデジタル化が進み、特に若い世代の方々は店舗に行く機会も限定的であり、各県に複数の金融機関が存在する意義も限られてきています。
マイナス金利でなかなかトップライン(業務粗利益)が伸びていかない中で、地方金融機関が統合することで業務効率を高め、しかるべきボトム(業務純益)を作り出せる体制を構築することで、金融機関の経営が安定し、地方が活性化され、ひいては日本経済の活性化に貢献したい、と考えています。
EL
地方金融機関の統合に際して具体的にどのようなことをするのでしょうか?
愛場様
地方金融機関の統合にあたり、基本合意が結ばれて持ち株会社を設立する際には、まず「どのような新グループにするか?」といった目指すべき姿を定義します。
その上でそれを実現するために各領域、例えば営業、審査、会計、リスク、人事、事務・システム、総務において、「統合までの期間にどのような作業をしなければいけないのか?」という作業計画を作ります。
あわせて「目指すべき姿」を実現した時に期待されるシナジー施策を洗い出し、それを基にクライアントとディスカッションをしながら、優先順位をつけアクションプランに落としていきます。今お話している内容を最終的にプレスリリースするためのドラフト作りもお手伝いをしています。
EL
PMIコンサルタントとして働くには、色々な知識を持っていないといけないですね。
愛場様
そうですね。ただ私たちのチームの中にも戦略、会計、人事、システムなど様々なバックグラウンドを持っているメンバーがおりますので、うまくチームを組みながらプロジェクトを進めています。そして、必要に応じてPwC Japanグループ内の他チームの専門家に入ってもらいプロジェクトチームを構成しています。
マネジメントコンサルティングPMI 部門の特徴について
EL
チームの風土について教えていただけますか?
愛場様
一般的にコンサルタントというとどうしても「個が強い」一匹狼のようにクールな人物を想像されることも多いのですが、PwCは非常に暖かみがあり、お客様に寄り添った組織だと思いますし、また、そういったことを大切にしている組織だと思います。
クライアントの課題解決に向けて情熱的に取り組みますし、グループ内の様々な専門家と協業しています。別の組織とのチームワークも良く、働きやすい環境があると思っています。
メンバー同士が職位に関わらずあだ名で呼びあうこともあり、フランクな組織だと思います。
EL
御社で働くことのメリットとして、どのようなことが挙げられますか?
愛場様
特徴としては「x-LoS(クロスロス)」、「クロスボーダー」というのがキーワードかと思います。
x-LoS(クロスロス)とは、私たちPwC Japanグループが提供できるサービスライン(Line of Service=「コンサルティング」「監査」「税務」「ディール(M&A)」)をお客様の課題に応じてx(クロス=協業)していこうという意味です。協業を促すために、KPIを設定して他チームへの貢献を認めるような仕組みも実際に機能しています。
お客様が抱えている課題は年々複雑になっており、専門家が寄り添ってお互いに協力しあうことで、課題解決ができ、結果として顧客満足度も高まるという考え方が根付いています。
久木田様
自分の持つ専門性を提供することも大事ですが、自分の強みを持ちつつも、いろんな専門家とともにより難易度の高い課題に対して取り組むことができるというのが魅力だと思います。
もう一つのキーワードとしてクロスボーダーがありますが、他のファームと比べても、海外に関わる機会が多いと思います。グローバルモビリティーという海外のメンバーファームへの出向制度があり、2年から3年、海外で働くことが可能です。
狙いとしては、海外の先進的な事例を日本に持ち帰るというものや、現地の日系企業とリレーションシップを構築する、あとは海外のPwCメンバーと実際に何年間か「同じ釜の飯を食う」ことで帰国後にクロスボーダーの案件があったときにコラボレーションがしやすくなるということがあります。
候補者の方へメッセージ
EL
最後に、応募を検討している候補者の方へ一言メッセージをいただけますか?
愛場様
x-LoS(クロスロス)、クロスボーダーで自分の可能性を広げたいという方は、ぜひご応募いただきたいと思います。我々はPMIコンサルティングにおいて日本でナンバーワンのチームになっていきたいと考えておりますので、その思いに共感できる方がいらっしゃいましたらぜひご応募ください。
EL
本日はありがとうございました。
企業プロフィール
Profile
PwCコンサルティング合同会社
この企業の詳細情報-
愛場 悠介 様
PMI コンサルティング事業部 パートナー
日本・米国・アジア地域におけるクロスボーダー統合案件を中心に、コンサルティング業界において15年超の経験を有する。 2011年~2014年においては、PwC US(ニューヨーク)のM&A支援チームに所属し、日系企業による米系企業を対象とした買収・統合案件を含め、統合契約締結前のデューデリジェンスから、締結後のポストM&A統合まで、M&Aサイクル全般に渡る支援を担当した。銀行、保険、Private Equity Fundに加え、総合商社、製造業など、複数の業界に対し、サービスを提供した実績を持つ。
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久木田 光明 様
PMI コンサルティング事業部 ディレクター
大手内資系コンサルティングファームを経て2012年にPwCに参画。中小企業から大企業まで様々な企業に対して、企業戦略、事業戦略、営業/マーケティング戦略、経営管理、グループ経営、経営変革(BPR)等の戦略/ビジネスコンサルティングに10年以上に渡り従事。特にM&A戦略策定、買収対象企業の選定、ビジネスデューデリジェンス、統合後の統合プラン策定及び統合実行支援等、M&A/企業統合に関する実績多数。