戦略コンサルティングファームを目指す志望動機
Post Date:
2019-12-05 / Update-date:
2024-06-29 /
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選考対策特集戦略コンサル特集
「戦略コンサルティングファームを志望するにあたって志望動機はそこまで重視されない。」と言われることがあります。これはある意味正しいと言えないこともないですが、本質的には誤った認識です。「重視されない」のではなく、「最低限、志望動機を正しく書ける、言えなければ、選考のスタートにも立てない」というのが正しい解釈です。
確かに、面接の場では志望動機は聞かれない、もしくは聞かれることは有っても掘り下げられないことが多く、面接時間や評価の面からもケース面接の方が重視される事実は有ります。一方で、最初の志望動機でつまずけば、そもそも面接選考に進めない(書類でお見送りとなってしまう)、もしくは例え面接に進めても、志望動機がひどければその後もまともに評価して貰えない可能性が高いです。
繰り返しになりますが、「選考に臨むにあたり最低限整理されていなければならない」ものになります。総合コンサルティングファームや事業会社で面接時に「志望動機書」を求められないケースが多い中で、多くの戦略コンサルティングファームでは応募時に「志望動機書」の提出を求める事実は、書類選考時に最低限のレベルや本当にコンサルタントになりたいのか、その候補者の嗜好と会社がマッチしているか等の確認に使われていることを示しております。
本特集で、その最低限必要なポイントに触れることで、戦略コンサルティングファームを目指し、これから志望動機を考える方の一助となればと考えます。
戦略コンサルタントの志望動機の書き方
志望動機記述の第一歩としては、これまでの自分のキャリアと、入社後のキャリア設計を論理的に考えることです。
これまで自分がどのようなキャリアを歩んできており、何を成し遂げたか。
そして、なぜ戦略コンサルファームを目指すのかを明確にし、その経験によって、志望ファームの戦略コンサルタントとしてどのように歩んでいき、どのように成果を上げられるかについて、まずは考えましょう。
次に、どのように記述すればより効果的なのかについて分析を行う必要があります。
戦略ファームは人気が高く、非常に倍率が高いため、内容だけではなく、伝え方にも気を使う必要があります。以下のような最低限押さえておくべきポイントに注意し、より良い志望動機を目指しましょう。
志望動機で最低限押さえるべきポイント
ロジカルな構成
コンサルタントに求められる能力として「ロジカルシンキング」という言葉はよく聞く言葉でしょう。ではロジカル(論理的)とは何か、詳しくは参考書籍を読んで頂ければと考えますが、特に重要なのは、
①構成がわかりやすい
②最初に結論を述べ、理由や具体の話を繋げる
の2点です。
「①構成がわかりやすい」、という点ですが、コンサルタントの方と話すと「理由は3つあって、1つ目は~、2つ目は~」という話し方をよく聞きます。これは最初に「3つ」という数字を見せることで、どれだけ話が続くのか、その3つのポイントとは何か、今どこの話をしているのか、といった点を相手に伝える効果があります。結果、相手が話を聞きながら、もしくは文章を読みながらであっても、発信者にガイドされる形となるため、内容が理解しやすくなります。
「②最初に結論を述べ、理由や具体の話を繋げる」、という点について、①同様の効果になりますが、まず結論を伝えることで相手にメッセージが伝わり、後に続く理由や具体の話が理解しやすくなります。
逆の例を挙げると、皆さまの周りにも、結論を先延ばしにして冗長に話し、何を言いたいのか伝わらない方がいらっしゃるかと思います。勿論、結論を前に持ってくることが常にロジカルとは限らず、「A=B、B=C、よってA=C」という演繹的なロジックもあります。一方でこれは高度なため、話が明確かつ簡潔でなければ伝わりません。うまくできないと、例に挙げたような、「話は長いが何を言っているか分からない」という状態になってしまいます。
なお、①、②を組み合わせる、つまり「XXXのため経営コンサルタントを目指します。理由は3点で、△△、△△、△△です。それぞれ具体的には・・・」という組み合わせですと、より分かりやすい構成になります。
簡潔な纏め方
上記の「ロジカルな構成」とも繋がりますが、全体としてロジカルライティングを意識しつつ、かつ簡潔に纏める必要があります。全体の構成(例)として「結論→理由や具体→まとめ」と、整理されており、理由を3つ挙げる場合にも一つ一つが長くなりすぎず、簡潔にポイントを伝える必要があります。
冗長にならないコツとしては、結論のみならず理由についても一言で伝える整理、つまり「理由は△△、△△、△△です」と一言で言えるか、がポイントになると考えます。
勿論、その△△の一言の言葉では具体は伝わらないものの、先にガイドされることで、その具体の話が△△という理由に繋がっている、という結論が相手に伝わる為、一つ一つの具体を細かくしすぎなくても、相手にメッセージは伝わります。何か話をする際に、「△△が課題です」とまず一言で纏めることは、コンサルタントになった後も問われる能力ですので、その素養も相手に伝わると考えます。
ただ、このように書くのは簡単なものの、「△△」と纏める際の言葉や纏め方、本当にその構成で伝わるかは、重要かつ難しい話のため、実際に書いてからエージェントやコンサルタント経験者の方と確認するようにして下さい。
コンサルタントとして何を成し遂げたいか、という思い
志望動機の中では、当然ながら「コンサルタントとして(やその会社で)何を成し遂げたいか」という点に触れる必要があります。この話を織り込むことで、①コンサルタント業界(やその会社)を正しく理解している②そのうえで個人の思い(アスピレーション)とマッチしている、という2点を相手に伝えることが出来ます。
この「何を成し遂げたい」という点についても、上記同様、一言で伝えたのちに、具体感のある情報を織り込むことが良いと考えます。具体感のある情報については、その会社のHPに記載されていたプロジェクト情報や、書籍等で読んだことのあるコンサルタントの活躍、実際にコンサルタントに会って伺った話を織り込むことが、こちらのコンサルタントに関する理解を伝える点、相手に話を理解して貰いやすい点で良いでしょう。
当然ながら、戦略系コンサルタントとしての活躍範囲は広く、あらゆる可能性が考えられるため、ファクトに囚われすぎる必要は有りません。しかし、「社会にインパクトを与えたい」といった言葉だけでは相手に伝わらないため、自分なりの「社会」や「インパクト」の内容やレベルについて、相手にイメージを持たせる必要があります。
戦略コンサルタントの志望動機の例
私が経営コンサルタントを志望する理由は、主には①コンサルタント業務を通じた日本企業の変革、②クライアントとの議論を通じた業務遂行への共感、の2点になります。
①コンサルタント業務を通じた日本企業の変革
私が現在の業種を志望した理由として、日本企業の良い製品の海外へのアピールに携わり、業務での関係を通じて海外の客先に日本の良さを感じて欲しい、という思いがありました。
今の業務で実現出来た部分は有りますが、同時に、自身の業務が限られた業界に特化している点に悩む部分や、日本を代表する有数のメーカーや商社であっても、必要以上に固い守りや意思決定の遅さに、苦労したのは事実でした。
後者については一部の業界を除いて、日本の多くの業界、企業が同様の状況に陥っていると考えます。
そこで私は、多岐な業界、多様な規模のクライアント企業の課題に外部から取り組むコンサルタントの業務を通じ、特に日本企業の海外展開をサポートしたいと考えるようになりました。
世界で垣根が無くなり増々スピードが求められる中、日本だけが孤立することを避けるべく、日本企業の変革を担い、企業変革を通じて、海外から見た日本の魅力が増大していくことを目指したいと考えます。
②クライアントとの議論を通じた業務遂行への共感
コンサルタントの業務は、単に提案して指示するものではなく、時にはプロジェクトチームにクライアント企業の社員も入って、議論を通じて検討を進めていくものと理解しております。
私も事業会社の業務改善に当たっては、マネジメント層から現場の従業員まで、多くの議論を行ったことでお互い納得のいくより良いものになったと考えており、議論を通じたコンサルタントのスタイルに共感します。
戦略策定や課題解決については、外部のみの力では変革は生まれにくいと考えますし、一方で内部議論だけでも滞る話のため、コンサルタントが必要とされていると考えます。
提案や議論を通じて外部から変革を促すコンサルタントの役割/意義は大きいと考えますし、そのようなコンサルタントでありたいです。
内定者に多い志望動機
上記の例の通り、内定者の多くは、前職での経験をどのように活かせるかを記述するともに、コンサルファームでしか出来ない経験を求める志望動機が多くなっています。
例えば、前職では経営や会社全体にわたるプロジェクトに関われる機会が少なかったために、転職して、戦略コンサルの魅力である、多様な企業の経営や、社会全体に関わりたいという内容や、各ファームが得意としている、推し進めている分野の魅力を動機とするものが多くなっています。
また、戦略ファームの「成果を出す事を求められる環境」に身を置いて、様々な業務を行うことで、より多くの価値創造を行いたいといった内容も多くなっています。
よくあるNG例
複数の志望動機書を確認させて頂く中でよくみられる、上記が出来ていない以外の内容面でNGと考えられるものをピックアップします。
”成長したい”を強調した内容
戦略コンサルファームで働きたいと思う理由の一つとして、「優秀な人材と一緒に働きたい」、「彼(彼女)らから多くのことを学びたい」、「経営コンサルの考え方を学びたい」、「経営者の視座を得たい」等の理由は実態としてあると考えますし、伝えることも問題は有りません。
ただ、それがメインの志望動機となると、当然ながら「学校ではないのだから成長したいだけの人間はいらない」との結論になります。成長はあくまでプロセスであり、触れるのであれば、「成長した結果、XXXを成し遂げたい」というビジョンを見せなければなりません。
戦略コンサルを通過点とした内容
戦略コンサルティングファームの卒業生の方には、事業会社やファンド、起業で活躍される方が多くいらっしゃいます。ただ、それはあくまで結果であり、コンサルファームの門戸を叩く段階で、「将来起業を考えており、2-3年間まずは経営の基礎を学びたい」と伝えることは誤っております。
確かに戦略コンサルファームでは2-3年在籍して次のステップに進まれる方が多いのは事実ですし、ファームも卒業生の活躍を応援しておりますが、入る段階ではその候補者に「コンサルタントとして成長し、いずれマネージャー、パートナーとして活躍して欲しい。」と考えています。
そのため通過点として伝えてしまうと、その意向とマッチしませんので、お見送りとなる可能性が高いです。
ロジカルな構成に拘り過ぎて、思い/内容が伝わらないもの
上記の通り、ロジカルかつ簡潔に記載するためのポイントをお伝えしましたが、中にはそれに拘り過ぎて、思いが弱い/内容が伝わらないものが散見されます。
「全体構成はロジカルなものの内容を見ると結論に綺麗に繋がっていない」、「簡潔すぎて文字数が少なすぎるうえに使用されている専門用語が分からない」、「結論が抽象的な上に具体化も感覚やイメージだけで弱い」といったものです。
最初に触れたロジカルや簡潔とのバランスのため難しいですが、本当に伝えたい内容であれば多少文字数が必要であっても触れる(原体験等)、専門用語を使って経験を纏める場合は補足する、抽象的な言葉を使う場合は具体化で相手に伝わる記載を心掛ける、といった、読み手に配慮する気持ちは必要になるかと考えます。
まとめ
上記の通り、志望動機のポイントやNG例について触れましたが、大事なのはまずは書いてみることかと考えます。皆さまが「戦略コンサルタントを目指したい」と考えるに至った過程には言語化されていなくても何かしらの理由があるはずですし、書いてみることを通じてその理由/背景含め自己分析がブラッシュアップされると考えます。
同時に、自身の志向がコンサルファームと合っているか、そして志望動機の内容をより良いものとするためにも、コンサルファームの分析も必要になると考えます。
まずは自己分析/ファーム分析も同時並行で行いつつ書いてみて、その後、ロジカルな構成や、簡潔な纏めを意識して仕上げるのが良いでしょう。
とはいえ、上記にも記載しましたが独力では限界あると考えますし、一旦仕上げてからは戦略コンサルファーム経験者の知人に見てもらう、志望動機書を複数見ているエージェントに相談すると良いでしょう。
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