株式会社インフキュリオン コンサルティング|代表取締役 平松様
Post Date:
2021-01-18 /
Category:
金融, IT・デジタル, 戦略,
本日は株式会社インフキュリオン コンサルティングの平松様にインタビューの機会を設けていただきました。インフキュリオン コンサルティングの特徴、プロジェクト事例、今後のビジョンなどについてお話いただきました。
ご経歴
EL
最初に、ご経歴についてお聞かせください。
平松様
1994年に株式会社ジェーシービー(以下:JCB)で社会人をスタートし、それから約22年間、主にイシュイング事業に携わりました。内容としては、営業の統括関連やマーケティング関連が多かったですね。あとはフランチャイズ事業も経験しました。銀行や地銀が発行するクレジットカードの統括部署で6~7年程従事しました。その後アクセンチュアに転職し、金融部門で主にメガバンクやカード会社のコンサルティングを経験しました。メガバンク向けには構造改革や事務改革、カード会社向けでは決済系の新ビジネス構築などに携わり、3年半ほど在籍した後、2020年4月に株式会社インフキュリオン コンサルティング(以下:インフキュリオン)に参画しました。
EL
インフキュリオンに参画された決め手を教えていただけますか。
平松様
JCB時代に丸山と一緒に仕事をしていたので、お互い気心知れた間柄で定期的に情報交換していました。そんな中、2年前くらいから「インフキュリオンに参画して欲しい」と誘いを受けていました。インフキュリオンは「①B to B to CのBaaS(「Banking as a Service」:銀行機能をサービス化して提供する)事業」、「②加盟店向けソリューション事業であるB to B to Bのマーチャント事業」、「③真ん中のBを支えるコンサルティング事業」という3つの事業領域を持ち、それらを通じて社会をより良く変革していくことをミッションとしています。この点に非常に共感を持てたことが決め手となり、インフキュリオンへの入社を意思決定しました。
EL
インフキュリオンに参画されて、これまでどういった業務をされてきましたか。
平松様
銀行のペイメント領域の新事業立上げに始まり、いくつかのプロジェクトに掛け持ちで携わっています。直近は、大手流通小売クライアントのプロジェクトです。電子マネーも含めたアプリを持っている企業で、そのアプリを梃子に、より金融側のビジネスを強化していこうというプロジェクトです。小売りのアプリと金融機能の融合をどういう形で作っていくかを考えています。
インフキュリオンの特徴
EL
アクセンチュアやその他のコンサルティングファームとの違いを教えてください。
平松様
新事業の立上げプロジェクトといったものは、アクセンチュアやその他の総合ファームにもありますが、インフキュリオンが唯一無二としているのは、決済領域に高い専門性を持ったコンサルティング会社であるということです。この決済の専門性を軸として、様々な領域にビジネスが広がっている状況です。例えば、2020年6月の金融商品販売法改正に伴い、金融サービス仲介業の創設が可能になり、ここに必要となる事業モデルや技術面での支援が増えています。さらにそこからマーケティング、UX/UI、データアナリティクスといったテーマのプロジェクトが出てきます。決済を軸にしながら、様々なテーマ・ステージにビジネスが広がっている状態です。先ほどお話した流通小売クライアントの金融領域参入支援においては、決済という領域で高い専門性と秀でた実績があるからこそ当社にお話をいただいています。ここがアクセンチュアのような総合ファームとは違う点であり、インフキュリオンの存在価値だと思います。
加えて申しあげると、金融事業者を支援するBaaSというソリューションと、マーチャント(加盟店)向けソリューションを自社で持っていることも、インフキュリオンの強みです。考え方を伝えるだけではなく、自らのソリューションを使って実現することができる。ここは大きな違いだと思います。決済から派生して、コアバリューとして付加価値の高いソリューションを持っている点はどこにも負けないと考えています。
EL
そうしますと、直接的な競合は少ないということでしょうか。
平松様
直接的な競合先はあまり無いですね。決済の領域を軸に事業を考え、事業計画の作成から業務構築と実行、またそのエンハンスまで全てを専門的に行える会社は、インフキュリオンの他には無いと思います。ですので、基本的にはクライアントからインフキュリオンを指名で声を掛けていただくことが多く、実際にコンペになることはほとんどありません。
今後の展望
EL
今後の貴社の成長戦略・展望をお聞かせください。
平松様
冒頭申しあげた3つの領域、「①B to B to CのBaaS事業」、「②加盟店向けソリューション事業であるB to B to Bのマーチャント事業」、「③真ん中のBを支えるコンサルティング事業」を拡大し、キャッシュレス・金融デジタルトランスフォーメンション(DX)を牽引していくことだと考えています。
世の中の動きで考えた時に、キャッシュレス決済比率を21%から2025年までに40%、将来的に80%にするという経済産業省の目標や、デジタル庁の創設といったことも背景に、キャッシュレス・金融DXの流れは今後、より強くなると思われます。ここはまさにインフキュリオンの強みであり、必ず拡大する領域であると考えています。そのために、まずはクライアントを増やすことをやっていきます。私達は社会をより良く変革することをミッションとしていますが、コンサルティング事業では自ら事業を行って実現するというよりは、クライアントへの支援を通じて実現することを目指しています。既に流通と通信の大手はほぼ全てクライアントとなっていますが、さらに銀行や保険などの金融業、その他の業界も含めて、国内外の様々なクライアント達としっかり組んで世の中を良くすることを考えていきたいと思っています。
一方、クライアントが増えても、インフキュリオンに優秀な人材がいないと駄目ですので、採用活動もしっかりやっていきます。私達のビジネスにおいて、コアとなるのは人材です。しっかり採用していかなければいけないし、成長してもらわないといけません。クライアントを増やす、そして人材を増やし成長させる、この2軸を掛け算でやっていくことが、インフキュリオンのコンサルティング事業を伸ばしていくために必要なことだと考えています。
具体的なプロジェクト事例
EL
ありがとうございます。最近の金融DXの具体的な事例を可能な範囲で教えてください。
平松様
先ほどお話した、小売りと金融を融合させる大手流通小売クライアントのプロジェクトは、いわゆるフロント側の金融DXの事例のひとつです。他ですと、ウォレットステーションのBaaS基盤がローンチされる大手金融機関のプロジェクトがあり、こちらはミドル・バック側の金融DXです。金融DXはトップライン側の話だけ注目されがちですが、ミドルやバックの業務についていかにデジタルを活用して効率化させるかが大事です。
今回ウォレットステーションを通じて成し遂げようと思っていることは2点あります。
1点目は個人顧客向けのペイメントプロダクトをしっかり顧客に合った商品に変えていくことです。従来は即時払いしかないので、そこに前払い機能や後払い機能、ポイント機能や送金機能を付け加えるといったC向けのソリューションを充実させます。加えて、投資や貯金といった付加機能をつけるという話をしています。
2点目はクライアントの二大事務である「口座振替依頼書の業務」と「窓口での紙での公共料金の支払業務」の事務コスト削減です。ペイメントプロダクトを使って支払いを電子化することで、大幅削減が可能になります。例えば、「窓口での紙での公共料金の支払」の代わりに、公共料金の紙をカメラで写して少し入力するだけで支払いを完了する仕組みや、「口座振替依頼」の代わりにペイメントプロダクト上でリカーリングの仕組みにつなげてしまうのです。フロント業務をデジタル化することでミドル・バック業務の事務を減らしていくということも、本来金融DXでやらなければいけないことだと思っています。
EL
この先の平松様の構想(金融DXの先に見ているもの)を教えていただけますか。
平松様
金融DXの先にあるテーマについては、まさに検討中です。今般のCOVID-19の問題は金融DXやキャッシュレスを後押しする要因になりましたが、その中で新たなテーマが出てきているのも事実です。例えばセキュリティ対策があります。認証やセキュリティは、今後さらに重要になりますので、何かインフキュリオンにできることがないかと考えています。
もうひとつは、法改正(金融サービス仲介業)により大きな変化が起きると考えています。恐らく様々な事業者が金融業への参入を検討すると思います。異業種が金融参入する場合、決済や金融の面で支援できることは多いと考えます。さらに言うと、従来では銀行が金融業界において格別の存在でしたが、今後金融の担い手が変わる可能性があると考えています。そのような大局を想定し、インフキュリオンで何ができるかについて、検討をしているところです。
とは言え、この先5年で見るとキャッシュレス・金融DXが重要な局面になりますので、まずはその領域でインフキュリオンの立ち位置を確固たるものとしてから、次のビジネスを考えようと思っています。
キャリアパス・研修制度
EL
ありがとうございました。次に貴社で展望できるキャリアパスについてお聞かせください。
平松様
ひとつはコンサルティング業務でキャリアを形成すること、もうひとつはインフキュリオンのビジネス立上げや事業運営でキャリアを形成することのふたつがあります。
前者のコンサルティングについては、大きく3つの事業に分かれるので、特定の事業に注力することできますし、複数の事業に携わっていくことも可能です。例えば、先日入社した社員なのですが、加盟店にとって本当に良い社会を作りたいから入ったという社員がいて、この領域に関わる話がある度に私は彼を連れて行っています。同じように、個人顧客の消費体験を良くしたいという考えを持っている社員もいますから、その領域の会議などがあれば私は彼を必ず連れて行っています。
コンサルティングではなく、ソリューションを企画してセールスするとか、実際にプロダクト開発をしたければ、そのキャリアも実現可能です。
基本的に、個人のやりたいと思うことにチャレンジ出来る環境は整えられていると思います。加えて言うと、現在の既存事業だけで考える必要はなく、もっと良い事業、やりたい事業があれば、新たに産み出せば良いと考えています。いわゆるコンサルティングファームは自分達で事業をやりません。何故なら、何かしらクライアントと競合になる可能性があるからです。ただ、私達はバランスを見ながら双方にチャレンジしていきます。コンサルタントという中立な立場でもあれば、それとは別に事業もやります。例えば、自動貯金サービス「finbee」はB to C向けの事業です。社会をより良く変革する事業構想があり、それを誰もやらないのであれば、インフキュリオンがやります。やり方は最適解を模索します。コンサルとしてクライアントと協働で事業を立ち上げても良いですし、当社からスピンアウトして起業してもらっても良い。本当に自由にキャリアの方向性を考えていける会社だと思います。
EL
どんな方が入社されているのでしょうか。
平松様
選考の場ではコンサルタントをやりたいという方だけでなく、事業をやりたいという方も多いですね。インフキュリオンは自ら事業も行っていますので、そちらでステップアップしてもらっても良いですし、もし自分で作りたいというなら、事業を立上げでもらっても良いと思います。ただ、そのキャリアを目指す前に、コンサルタントの仕事を一度突き詰めてもらった方が良いと私は考えています。コンサルタントとして、物の考え方を進化させた上で新しいことをやっていただくと良い。この話は面接でもよくしています。
EL
入社後の研修体制などを教えてください。
平松様
インフキュリオンは大企業ではないですが研修体制は充実しています。専門家が揃っているので、彼らが講師となり勉強会も頻繁に開催しています。イシュイングとは何か、アクワイアリングとは何か、などの決済の基礎から始まり、専門的な領域に深めていきます。業務からシステムまで全てを自社で完結できるので、しっかり知識を得ようとする姿勢でいてくれれば、必ず必要な情報は得られる環境です。
また、インフキュリオンのプロジェクトは事業戦略構想、企画立案、業務構築、推進実行、エンハンスまで幅広いステージがあり、特に業務構築だと、要件定義やITの知識も必要になってきます。この点、各領域のプロフェッショナルが参画してくれているので、基本的にはそれぞれのプロフェッショナルが担当領域について研修を開いています。最近はUXをずっとやっていた人が入ってきたので、UXの研修も増やせました。
EL
入社された後も、本人のキャリアの希望を聞いてもらえる場はありますか。
平松様
あります。ちょうど、この10月からメンター制度を始めました。各メンバーにメンターが付き、何でも相談できるような仕組みを作りました。昇格のタイミングでもメンターの評価も参考にしながら、正しい判断ができるようにしていきたいと考えています。プロジェクトでの評価のみだと、どうしてもアサインされたプロジェクトの状況に依存してしまうので、プロジェクト状況によらずフラットな評価が出来るようにしたいです。自己研鑽など普段の頑張りや展望しているキャリアビジョンなどを、メンターを通じて私達経営陣に伝えられる仕組みにしています。
EL
アサイメントの方針や仕組みをお聞かせいただけますか。
平松様
毎週月曜日に営業戦略会議があり、現在のプロジェクトを受注見込みも含めて全て共有します。直近に受注できそうなプロジェクトと、アサイメント可能な社員のスケジュールを整理し、ケイパビリティとプロジェクト実績を踏まえてアサインメントを考えています。その上で本人に打診し、本人の興味もマッチすれば、アサイメントが決まります。2年後3年後、もっと言うと5年後10年後にどうなりたいかをメンターとしっかり話していただければ、できるだけそれを考慮してアサイメントを検討していくつもりです。
EL
ワークライフバランスについて教えてください。
平松様
コンサルタントの平均残業時間は月35時間程度です。もちろんプロジェクトが立て込んだ月は35時間以上働くこともありますが、それでも年間を通じても平均月40時間を下回って推移しています。
求める人物像
EL
どんな方と一緒に働きたいでしょうか。
平松様
前向きにやってくれる人です。前向きになれる人は絶対に成長します。それは、コンサルタントとしてのベース能力があろうが、なかろうが、関係ないですね。反対に、前向きでない人は知識があっても成長しません。もうひとつは、社会を良くしたい、社会に貢献したいと強く思っている人ですね。
社会を自分の力で良くして変革していくということに前向きに取り組める人。そんな人がインフキュリオンに来てくれると楽しくやっていけるような気がします。
EL
ありがとうございます。最後に、転職検討中の方に向けてのメッセージをお願いします。
平松様
本当に社会を良くしたい、社会に貢献していきたい、社会を自らの力で変革したいと思っている方は、是非一回当社に来てみてください。一回当社に来てくれれば、面白みが分かると思います。まずは踏み入れてみてください。
企業プロフィール
Profile
株式会社インフキュリオン コンサルティング
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平松 宏之 様
代表取締役
早稲田大学卒業。ジェーシービーにて融資・マーケティング・営業企画部門を経て、銀行とのフランチャイズ業部門では担当部長として、国内初のブランドデビットカード事業立ち上げ。その後、マーケティング部門担当部長を経て、2017年アクセンチュア参画、シニアマネージャーとして大手金融機関を中心にプロジェクト責任者を歴任。2020年よりインフキュリオンに参画。