【2024年最新】M&Aアドバイザリーとは|仕事内容や必要な資格までを徹底解説!
Post Date:
2023-08-07 / Update-date:
2024-06-29 /
Category:
キャリア・働き方特集
M&Aアドバイザリーとはどのような職業なのか、言葉からなんとなくはイメージはできてもはっきりとは理解していないという方も多いのではないでしょうか。仕事内容や、なるために必要な資格、経験、スキルについて解説していきます。
- M&Aアドバイザリーとは
- M&A仲介会社との違いは?
- M&Aアドバイザリーは大まかに3つに分類される
- M&Aアドバイザリーの具体的な仕事内容とは?
- M&Aアドバイザリーの平均年収は?
- M&Aアドバイザリーに必須・おすすめの資格とは?
- M&Aアドバイザリーに必要なスキルとは?
- M&Aアドバイザリーを手掛ける主な企業
- M&Aアドバイザリーのことならエグゼクティブリンクにおまかせ!
- まとめ
- 関連記事一覧
M&Aアドバイザリーとは
M&AとはMergers and Acquisitionsの略であり、企業の合併・買収を指す言葉です。それを踏まえ、M&Aアドバイザリーとは「企業の買収(譲受)あるいは売却(譲渡)を検討している企業をクライアントとして、M&Aを実行してよいかどうかの検討および実行の際の支援を行う」うことを仕事とする職業のことです。
※「アドバイザリー」という言葉は、専門的な知識をもとにクライアント企業にアドバイスすることを業務とする人材を指す経営用語です。単にアドバイスする人を指す英単語である「アドバイザー」とは意味合いが異なります。
《参考》
▶M&A×コンサルティング業界
M&A仲介会社との違いは?
「M&Aアドバイザリー」と「M&A仲介会社」では契約形態が異なります。M&Aアドバイザリーの場合、買収側の企業あるいは売却側の企業のどちらか一方と契約を結び、契約を結んだ企業の利益を最大化させることを目的とします。報酬も契約した側の企業から受け取ります。一方でM&A仲介会社の場合、買収側と売却側の双方と契約を結び、交渉の仲介を行います。双方と契約を結んでいるため、報酬も両者から受け取ることが多いです。
特徴として、M&Aアドバイザリーは大型案件やクロスボーダー案件が多いのに対し、M&A仲介会社は中小企業規模の案件が多いという傾向があります。
M&Aアドバイザリーは大まかに3つに分類される
M&Aアドバイザリーの中でも、担当する領域によっていくつかに分類することができます。ここでは、財務アドバイザー(FA)、法務アドバイザー(LA)、その他のアドバイザーの3つに分けて説明します。
財務アドバイザー(FA)
FAとはFinancial Advisorの略です。財務アドバイザーはM&Aプロジェクト全体の進行を支援します。具体的には、クライアントとのゴールのすり合わせ、相手側との価格・条件交渉、周辺アドバイザーとの調整などを行います。
また、財務面でのDD(デューデリジェンス)も行います。DDとは、契約を結ぶにあたって適正な判断を下すために、相手企業の価値やリスクなど徹底的に調査することを指します。
主なプレーヤー
・FAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)
・コンサルティングファーム
・外資系銀行/国内銀行
・証券会社
・信用金庫
《参考》
▶FAS(ファイナンシャルアドバイザリー)
法務アドバイザー(LA)
LAとはLegal Advisorの略です。法務アドバイザーはクライアントの法務部門とともに、プロジェクトの法務領域を担当します。特にディールブレーカー(M&A取引の検討を中止せざるを得ないような重大な障害)となり得る事項がないか、法務面でのDDを行います。
また、クロスボーダー案件の場合国によって法律が異なるため、その点に注意しながら取引を円滑に成立させるために支援を行います。
主なプレーヤー
・FAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)
・コンサルティングファーム
・法律事務所
その他のアドバイザー
第三者機関として反社チェックを行ったり、フェアネス・オピニオンを表明したりすることで、健全な取引のための支援を行います。
主なプレーヤー
・FAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)
・コンサルティングファーム
M&Aアドバイザリーの具体的な仕事内容とは?
M&Aアドバイザリーが具体的にどんな仕事をしているのか、順を追って説明していきます。また、専門的な用語については適宜説明させていただきます。
仕事内容① M&A戦略を立案する
M&Aは経営戦略の一つとして行われます。そのためまず初めに、M&Aが有効な戦略になりうるかどうか、なるとしたらどんな戦略がよいか、ということを全社経営視点で考えてM&A戦略を立案していきます。戦略立案にあたっては、M&Aによってクライアントにもたらされるメリット・デメリットの予測やシミュレーションも行います。
大枠としての戦略が完成すると、全体のスケジュール設定やM&A候補先のリストアップを行い、戦略をより具体的なものにしていきます。また、相手方への打診や、契約の検討を進める上での調整も行っていきます。
仕事内容② デューデリジェンス(DD)を行う
M&A戦略の立案後に行うのがDD、つまり相手企業について徹底的に調査し、価値やリスクを洗い出すことで取引に適しているかどうかを見極めるという工程になります。DDは、財務・税務面、法務面、ビジネスモデル面など多方面から行い、漏れなく相手企業について調べ上げます。
M&Aアドバイザリーは専門家と協力しながら調査を行い、さらに調査結果から分析を行います。これにより、ディールブレーカーがないか、取引を進めるにあたっての交渉のポイントは何かといったことを明らかにして整理していきます。
仕事内容③ 取引条件の交渉を行う
M&Aの取引条件の交渉を行います。交渉の内容次第で企業の得られる利益が変わってくるため、M&Aアドバイザリーはクライアントの利益を最大化できるように交渉のサポートを行います。具体的には、交渉戦略の立案や価格設定のアドバイス、交渉の場の設定、さらには交渉の代理を行う場合もあります。また、契約に必要となる諸々の書類の草案作成にも取り掛かっていきます。
仕事内容④ 取引執行を行う
取引執行を行う際のM&Aアドバイザリーの業務内容として、資金調達支援や契約書類作成支援が挙げられます。資金調達支援については、どこからどのようにして買収のための資金を調達し、どのように運用するかという戦略を考えます。契約書類作成支援については、交渉によって決定した条件をもとに、専門家と協力しながら法的に漏れのない書類づくりのためのアドバイスを行います。また、IR情報の更新に関するアドバイスなど対外的な対応も行います。このようにして、最終的な契約締結に至るまで包括的にクライアントを支援していきます。
仕事内容⑤ ポストマージャーインテグレーション(PMI)を実施する
PMIとは、M&Aの契約が締結された後の統合プロセスのことを指します。企業が合併する際には、両者の企業体質の違いや文化の違いなど多くの違いから統合に支障がでる可能性があります。そうした統合の妨げとなり得る要素を洗い出し、その結果を踏まえて統合マネジメントを行うことによってM&Aによる利益を最大限に得られるようにする、ということがPMIにおいて重要な要素になります。PMIは、より具体的には「経営統合」、「業務統合」、「意識統合」の3つをスムーズに行うことを目的としています。
M&AアドバイザリーがPMIにおいて行う業務としては、例えば統合後の財務・税務に関する処理のアドバイス、新しい組織体制になった際のマニュアルの整備などが挙げられます。また、PMO(Project Management Office)、つまりプロジェクトを横断的に支援する存在としての役割もあり、PMIの進捗管理やM&Aによる利益を最大化するための中長期的な戦略の策定などの支援も行います。
M&Aアドバイザリーの平均年収は?
M&Aアドバイザリーの平均年収は1928万円です。(大手3社平均)
社名 | 平均年収 |
M&Aキャピタルパートナーズ | 2478万円 |
GCA | 2063万円 |
日本M&Aセンター | 1243万円 |
*有価証券報告書調べ
個人や会社の業績によって年収・ボーナスの額が大きく変わるため同じ業種でも企業間でバラつきがあるのが特徴です。
1つのM&A案件で受け取る報酬額の10〜20%がインセンティブとして年収に加わります。そのため、担当する案件の金額が大きい方が年収が高くなる傾向になります。また、M&Aアドバイザリーは大手企業をクライアントとすることが多く、案件の規模も大きくなるため、その分年収が高くなる傾向になります。そのため、優秀なアドバイザーであれば3000万以上の年収を目指すことも可能です。一方で、インセンティブが発生しなければ、基本給とボーナスのみになるため数百万円程度の年収に下がります。
M&Aアドバイザリーに必須・おすすめの資格とは?
M&Aアドバイザリーになるために必須の資格はありません。資格を有していなくてもなれる職種です。とはいえ、持っていれば有利に働く資格はあります。M&Aアドバイザリーになるにあたって以下の資格を取得しておくと良いでしょう。
- MBA
- 中小企業診断士
- 公認会計士・米国公認会計士
- 税理士
1つはMBA、つまりビジネススクールで獲得できる経営学修士号です。正確には資格ではなく学位ですが、これを取得することで経営に関する一定の知見を修めた証明になります。特に有名なビジネススクールのMBAであれば、経営に関する職種への転職において高い市場価値を示すことができます。
ほかには、中小企業診断士という国家資格が挙げられます。これはコンサルティングに関する唯一の国家資格であり、所持していることで一定以上のコンサルティング能力があることを示すことができます。
また、会計、財務、税務に関する能力の証明となる資格として、公認会計士、米国公認会計士(USCPA)、税理士などの資格もあります。
注意点としては、資格は多ければよいというものではないということです。あくまで客観的に能力を示す一つの指標であり、自身の職務経歴やスキルと整合性がとれていることが重要になります。
M&Aアドバイザリーに必要なスキルとは?
ここではM&Aアドバイザリーに必要なスキルについて紹介していきます。どのようなスキルが求められているか、それがなぜ必要なのか等について解説していきます。
業務経験
どのような業務経験がM&Aアドバイザリーに活きてくるのかをご紹介します。
・コンサルティングファーム出身者
多くのコンサルティングファームではM&Aプロジェクトを取り扱っているため、M&Aプロジェクトにアサインされた経験があれば、その経験を業務に活かすことができることに加え、転職においても強みになります。具体的な業務経験としては、プロジェクト管理や企業のDD、クロスボーダー支援、M&A後のPMIなどが挙げられます。
直接M&Aプロジェクトに携わっていない場合でも、企業のCxOに対する戦略コンサルティングや財務・税務・法務領域におけるコンサルティング、PMO案件などM&Aに活かせる経験があれば、転職において有利になり得ます。
・事業会社出身者
事業会社の立場からM&Aに携わった経験があれば、それは転職においても業務においても活かすことができます。特にアドバイザリーやコンサルタントと協力してM&Aを行った経験を有していれば、業務の流れを把握できているうえに、異なる立場からの視点を有している人材という強みになります。
M&Aプロジェクトに直接携わったことがなくても、事業会社の経営企画など上流工程に携わった経験があれば、M&Aアドバイザリーに活かせる経験としてアピールすることができます。
クライアントリレーション能力
クライアントと良好な関係性を築く能力はM&Aアドバイザリーにおいては必須と言えるでしょう。というのも、M&AアドバイザリーはM&Aの進行全体を管理する立場であり、クライアントに加えて各領域の専門家、相手企業の担当者、さらには相手企業についているM&Aアドバイザリーと協力してM&Aプロジェクトを成功に導く必要があるためです。それぞれの立場を理解し、関係性を破綻させることなく円滑に進めるための判断力やマナーなど多くの能力が必要となります。
コミュニケーション能力
クライアントリレーション能力に通ずる部分はありますが、コミュニケーション能力は非常に重要です。M&Aアドバイザリーは様々な職種、立場の人と共に仕事をするため、それぞれに性格が違うのはもちろんのこと、基本的な考え方や扱う言葉にもギャップがあります。そのため、単に他者と良好な関係を築けるかどうかだけでなく、勘違いやすれ違いが生まれないよう、相手の意図を正確に読み取りこちらの意図を正確に伝える能力が必要になります。
マネジメント能力
M&Aは複数の部門が同時に進行しながら進んでいくプロジェクトになるため、全体を円滑に進行させるためには高いマネジメント能力が求められます。具体的には、進捗管理、スケジュール管理、ステークホルダー間の折衝、リスクヘッジなどが挙げられます。一つの部署や固定のメンバーを管理するマネジメント能力よりも、複数の部署を横断的に管理するPMO的なマネジメント能力が必要と言えるでしょう。
財務・税務・法務系スキル
当然ながら、財務アドバイザーを目指すのであれば財務・税務系のスキル、法務アドバイザーを目指すのであれば法務系のスキルは有効になり得ます。スキルと一言で言っても幅広い意味がありますが、具体的には各部門における業務知識や業務経験、業界に対する知見、慣習への理解などが挙げられるでしょう。
英語力
英語力はあるに越したことはありません。英語を使わないプロジェクトもありますが、英語力がないというだけでクロスボーダー案件に参画する選択肢は失われてしまいます。転職においても英語力は強みの一つになります。TOEICなどの試験で一定以上のスコアを獲得している、あるいはグローバルプロジェクトに参画した経験がある、と言った英語力を示せるものを有しておくのが良いのではないでしょうか。
M&Aアドバイザリーを手掛ける主な企業
ここまでM&Aアドバイザリーが高度なスキルや専門知識が求められる仕事であることを紹介しました。次は、どんな企業がM&Aアドバイザリーを行なっているのか紹介します。M&Aアドバイザリーは大きく3種類に分けられます。
金融機関
銀行や証券会社などが該当します。M&Aを専門に手がけているわけではありません。しかし、社内でM&Aを担う部門を設けており、サポートを行なっている企業があります。
銀行は、大規模M&Aが得意で、数億以上の売上規模をもつ企業のM&Aをサポートします。証券会社の投資銀行部門は、戦略立案や市場分析、M&A候補先への交渉やデューデリジェンスなどM&Aの各ステップにおいて総合的にサポートする役割を持ちます。
主な企業
- 三井住友フィナンシャルグループ
- 三菱UFJフィナンシャルグループ
- ゴールドマンサックス
- 野村證券
- みずほ証券
コンサル系
コンサル系の企業もM&Aアドバイザリーとしての機能を持ちます。銀行のように融資を行うなどの金融機能はありませんが、M&A戦略の立案からポストマージャーインテグレーション(PMI)までの上流から下流工程まで一貫して財務面や税務面をサポートします。また、他部門と連携しながら、M&A後のシステムや組織編成に関するサポートも可能です。
主な企業
- デロイトトーマツ
- KPMG
- PwC
- EYアドバイザリー
- グラントソーントン
独立系M&Aブティック
銀行やコンサル会社のように金融機関や会計事務所としての機能は持ち合わせていませんが、M&Aアドバイザリーの専門組織として戦略の立案からポストマージャーインテグレーション(PMI)までの上流から下流工程までの幅広い範囲に関与し、サポートします。
主な企業
- フーリハン・ローキー(旧GCA)
- フロンティア・マネジメント
- BDA Partners
M&Aアドバイザリーのことならエグゼクティブリンクにおまかせ!
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まとめ
今回はM&Aアドバイザリーについてご紹介しました。記事を読む前よりもM&Aアドバイザリーについて鮮明にイメージできるようになっていましたら幸いです。より詳細な業務内容や転職の条件等については企業ごとに異なるため、各企業のHPから情報を集める、転職エージェントを活用する、転職用の口コミサイトを見る、在籍者に話を聞いてみるといった手段が有効です。
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