A.T. カーニー|金融プラクティス|河野様、橋本様
Post Date:
2022-12-28 /
Category:
戦略, 金融,
A.T. カーニー株式会社(以下、A.T. カーニー)、金融プラクティスの河野様、橋本様にインタビューの機会を頂戴し、A.T. カーニーにおける同部門の特徴、プロジェクト内容、求める人材像についてお話し頂きました。
ご経歴について
EL
まずは、お二人の自己紹介をお願い致します。
河野様
2006年にA.T. カーニーに入社し、現在はパートナーを務めています。入社してからは金融×ITの仕事に長く携わってきました。前職は日本IBMに在籍し、金融システムを中心にシステム開発を担当しておりました。
日本IBMはSIerということもあり、基本的には、ITソリューションの提供が中心の業務になります。IT以外も含めて、幅広くお客様にも役立つ力をつけたいと思い、A.T. カーニーへの転職を決めました。
橋本様
大学院を卒業後、新卒で第一生命保険株式会社に入社し、フィナンシャルプランナーとして経験を積んだ後、2015年にアクセンチュアに転職し、生命保険会社の新規事業開発に携わっていました。2018年にA.T. カーニーに入社し、現在は金融プラクティスと通信プラクティスに所属しています。金融プラクティスでは金融機関だけでなく、金融事業への参入を検討している通信事業者といった非金融プレーヤーの支援行っております。
EL
アクセンチュアからA.T. カーニーに転職された理由を教えてください。
橋本様
アクセンチュアではプロダクト・サービスを実際に開発・実装したり、システム開発を行ったり、BPOに繋げたりと、end-to-endで長期間にわたってお客様のプロジェクトを支援する経験を積むことができました。一方で、より上流の経営アジェンダに携わるサイクルを短期間で回し続け、“強い個”としてコンサルタントのスキルをさらに磨きたいという思いがあり、A.T. カーニーへの転職を決めました。
金融プラクティスについて
EL
金融プラクティスについて教えてください。
河野様
金融プラクティスは、長年にわたって金融機関に付加価値の高いコンサルティングサービスを提供してきました。我々がこだわっている点は4つあります。1つ目は金融を通じて日本社会を強くすること。2つ目は、自らのビジネスモデルはもちろんのこと、現在の金融業界を変革する意思をもったクライアントをご支援すること、3つ目は課題の本質性と先進性にこだわること、4つ目は金融プラクティスのサービス化を図ることです。
現在、業法の改正が進み、金融機関の垣根が下がりました。既存の金融機関が新しい金融事業や非金融事業にシフトしていますし、非金融機関、例えばWeb企業などは金融参入を進めています。我々もこの環境変化にあわせて、もっと広い視点から新たな課題を捉え、それに対応できるように、我々の専門性の幅を広げていくことを志向しています。社会の1歩前に進んで、お客様のお役に立てるコンサルティングサービスを行っていきたいと思っています。
コンサルティング業界にはインダストリー軸とサービス軸がありますが、今後はインダストリー軸だけでなく、サービス軸でファイナンシャルサービスというプラクティスを作るという発想を持って取り組んでいきたいです。そのためにもメンバーが何かしらの得意分野を持ったエキスパート集団を作っていきたいと考えています。
EL
金融プラクティスが目指しているものはありますか?
河野様
東京から、様々な情報や先進事例を発信できるプラクティスになりたいと考えています。日本の金融機関は、グローバルな視点で先進的な課題を抱えていると思っています。人口減少、低金利化など。世界でも金融が成熟化している国のひとつなので、日本で起きることはこれからグローバルでも起きる可能性もあります。日本の事例すべてをグローバル展開できるとは思っていませんが、日本で積んだ実績はグローバルでも生かすことができると考えています。
EL
金融プラクティスで働く魅力について教えてください。
橋本様
社内の金融以外のインダストリー/テーマ軸のエキスパートとの協働により、知見の幅を拡げられるところが魅力的だと思います。非金融プレーヤーの金融事業への参入が増えたことに伴い、実際、通信、メディア、ヘルスケアなど他チームとの協働が増えています。当社には様々な専門性を持った“尖った個”が集まっており、そのようなエキスパートと密度の濃いディスカッションをする機会が多いことが大きな魅力だと思います。
プロジェクト事例について
EL
具体的なプロジェクト事例について教えてください。
河野様
最近では、大手銀行とのプロジェクト事例があります。我々は戦略だけではなく、オペレーション設計やDX導入支援までを実施し、2年半ほどかけて最終的に変革が完了するまでの支援を行いました。A.T. カーニーから10名、お客様のメンバーが30名ほど入り、そこに外部のリソースを含めた最大で50人のチームになる大きな事例です。このケースでは、ヒトモノカネのリソースを伝統領域から新領域にシフトさせ、ビジネスモデルのトランスフォーメーションのプロセスを一気通貫でご支援することができました。
橋本様
このプロジェクトは非常に意義深いプロジェクト事例だと思っています。日本では低金利環境が続き、地域金融機関は従来の融資ビジネスだけではなかなか十分な収益が上がらなくなっているのが現状です。そこに入り込んで、全社的なオペレーションのリーン化だけでなく、リソースシフトを推進してトップライン改善まで実現したことは、他の銀行にも適応し得る改革の一つのモデルケースになったと考えています。
また、私からはもう一つの事例を紹介いたします。これは、ICT業界のお客様と認知症リスクを計測するソリューションの市場開拓戦略を検討したプロジェクトです。A.T. カーニーはそのお客様に対して、大手銀行やクレジットカード会社と組み、富裕層向けサービスの利用顧客中心にそのソリューションを提供するサービスフローを提案いたしました。これは、金融機関が預金・融資・決済といった既存領域を超えて、健康や娯楽など消費者のリアルな生活を支えることに踏み込んだサービスを考えていく必要があることの好例だと思います。
今後の展望について
EL
今後、中長期的な業界の環境変化や、その中でA.T. カーニーが果たす役割について教えてください。
河野様
2020年代に様々な行法変更やDXを進展し、その影響が2030年頃に目に見える変化として成就すると考えています。
「金融機関はそろそろ終わりだ」というような話がささやかれて20年ほど経っていますが、現状をみれば、それほどのドラスティックな変化は起きていません。金融機関の役割は、まだまだ残されています。
また日本の金融機関のビジネスは、アナログの部分が多く残ることは否定しませんが、世界で最も業務が作り上げられていますので、中途半端にデジタル化を進めても成果は限定的です。
金融機関に求められているのは、自分たちの社会的意義を見直し、それに応じたビジネスモデルに変革することです。我々A.T. カーニーは、その変革をお客様とともに二人三脚で進めて参りたいと考えています。
A.T. カーニーでのキャリア、働き方について
EL
A.T. カーニーのキャリア形成についての考え方について教えてください。
河野様
最終的なゴールは、メンバーそれぞれが人材マーケットで価値がある人間になることです。A.T. カーニーでは”尖った個を目指す”という基本的な考え方を持っています。
A.T. カーニーが定義する”尖った個”というのは、ロジカルシンキングやファシリテーション能力、問題解決などのコンサルタントとしての基本的な能力を持ちつつ、さらに自分の専門能力をあわせて、ユニークな価値を提供できる人材を指しています。そのような人材が、たとえカーニーを卒業したとしても社会の様々な場面で活躍してくれることで、日本経済の成長にも貢献できると考えています。
当社では、社会をリードする大企業20社と、社会に新たな価値を生み出すベンチャー200社を支援する、という戦略をとっています。当社自体のプロジェクトではもちろんですが、当社を卒業してからも、20+200の企業群で活躍できる人材を輩出できればと思っています。
ベースとなるコンサルタントとしてのスキルについては、OJTや座学を通してスキルを身につけて頂きますし、マネージャー毎に育成責任を与えているので、プロジェクトの中できちんと成長できる環境があります。他に、コンサルタントとしてさらなるレベルアップをするために出向プログラムというものがあります。私たちは”尖った個”になるためにはコンサルティングファームの中での経験に加えて、コンサルティングファーム外での経験を組み合わせる必要があると考えています。コンサルティングファームのプロジェクトは、特定の課題集中に取り組みますが、例えばベンチャー企業などに出向することによって、それまでとは違った幅広い経験や視野を身に着けることができます。出向先で得たものを、A.T. カーニーに戻って還元してもらうことで、会社としても底上げになる仕組みです。出向プログラム以外にも、兼業制度や留学制度があります。A.T. カーニーの中で働くだけでは身につけられないものもあるので、A.T. カーニーがプラットフォームとなり人材育成を実施しています。
橋本様
近年では出向プログラムにはかなり力を入れており、年間で10名ほどのメンバーが出向しています。出向プログラムが本格化したのは2年ほど前ですが、出向先で得た知見を生かして活躍している社員も既に多くおります。出向プログラムの良い所はスキルの獲得だけでなく、ビジネスの“生”の現場を見てメンバーの経営観の解像度が高まったり、お客様の課題解決へのモチベーションが高まることに繋がっている点です。
EL
社内での円滑なコミュニケーション実現のために取り組んでいることはありますか?
橋本様
A.T. カーニーにはメンター制度のようにコンサルタントの中長期的なキャリアをサポートする機能は当然準備されています。また、それとは別にバディ制度というものを採用しています。同じようなランク、かつ同じようなキャリアを持つ人同士で、互いの評価を意識することなくフラットに相談し合うことができます。
個人的に工夫していることとしては、中途で入ってきた方に積極的にコミュニケーションを取る機会を作るようにしています。中途で入ってくるメンバーが、それまでに歩んできたキャリアの中で得た知見や経験は、当社にとっても非常に貴重なものです。お互いの知見をシェアすることで、自身のクライアントに新たな提案ができたり、実際のプロジェクトで生かすことができるのです。他のコンサルティングファームと比べ、個々の繋がりは濃いと感じています。
EL
プロジェクトの生産性を上げるために工夫していらっしゃることはありますか?
橋本様
働き方についてはここ数年で確実に改善したと感じています。A.T. カーニーの中には働き方改革チームというものがあり、プロジェクトチーム及びコンサルタント個人の生産性を高める仕組みを型化する活動をしています。例えば、個人のPC稼働時間のモニタリングを継続的に行い、業務時間が膨らむ兆候が見られる場合、それをプロジェクトのシニアチームやマネージャーに共有して改善を図ると共に、他プロジェクトにも展開できる機会と捉えて改善を重ねていくのです。全社的に生産性向上に取り組んできた経緯もあり、目に見えて成果が出てきたと感じています。
EL
兼業をされている方もいらっしゃると思いますが、どのようにして本業と両立させているのでしょうか?
橋本様
平日の夜や休日に兼業を行っている方が多いです。A.T. カーニーでは、事前にプロジェクトメンバーに相談すれば、兼業の時間は確保しやすいです。実際、私も社外活動を行う場合は、スケジュールを1,2カ月前には決めてその時間には会議を入れないようにするなど、自分で調整して時間を確保しています。
候補者の方へのメッセージ
EL
最後に応募を検討されている方へメッセージをお願い致します。
河野様
コンサルティング業界の中で、A.T. カーニーが最も個人のスキルやキャリアを高められると自負しています。人材育成やプロジェクトのアサイン方法、出向の仕組みなど、A.T. カーニーではスキルやキャリアを高める環境が整っています。会社として型にはめ込むつもりは一切ありません。徹底的にチャレンジして、お客様に価値を提供したいと考えている人はぜひジョインしてほしいです。「こんなキャリアを作っていきたい」という強いWillを持っている方に来ていただけると嬉しいです。
橋本様
私がA.T. カーニーに入社して強く感じたことは、コンサルタント同士でディスカッションするのが純粋に楽しい環境だということです。基礎スキルが高く、かつ特定の業界・テーマに関してWillを持つ“尖った個”たちとの議論を通じ、自分一人では思いもつかない答えに到達する経験はとてもエキサイティングです。自身のWillを持っている方にとっては気持ち良く働ける環境だと思っておりますので、ご応募をお待ちしております。
企業プロフィール
Profile
A.T. カーニー株式会社
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河野 修平 様
パートナー
東北大学大学院卒。IBMビジネスコンサルティングサービス(現日本IBM)を経て、A.T. カーニーに入社。15年以上の戦略コンサルティング経験を有する。金融機関を対象に、全社戦略、新規事業開発、営業戦略、IT戦略、オペレーション改革など、幅広いテーマにわたり、数多くのコンサルティングを手がけている。加えて、様々な業界向けに、ITインフラ構想、デジタルケイパビリティの強化、デジタル投資評価など、テクノロジー分野のコンサルティングも行っている。
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橋本 政晶 様
マネージャー
東京大学大学院卒。第一生命、アクセンチュアを経て、A.T. カーニーに入社。7年以上のコンサルティング経験を有する。金融業界・通信/ICT業界を中心に、全社戦略、マーケティング・営業改革、新規事業開発、デジタルトランスフォーメーション、M&Aなど、幅広いテーマのコンサルティングを手がけている。